霊長類研究 Supplement
第32回日本霊長類学会大会
セッションID: P22
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ポスター発表
マーモセットの血液マイクロキメリズムと遺伝的多型解析
辰本 将司臼井 千夏石川 裕恵郷 康広
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抄録

新世界ザルのコモンマーモセット(Callithrix jacchus)は、全ゲノム配列が解読され、繁殖効率が高く小型であるために取り扱いが容易で、脳科学や生殖工学などの実験動物としての有用性が高まっている。マーモセットは、大部分の妊娠が多胎児である生殖過程の特徴を持っている。さらに、マーモセットの多胎児たちは、妊娠初期の段階で血流と胎盤を共有しているため、マイクロキメリズムを有している。また、マイクロキメリズムは組織によって違いがあることが報告されている。本研究では、家系情報が整っている、単胎児(single)、多胎児(twins, triplets, quads)の血液サンプルから、次世代シーケンサーを用いて、個体あたり平均深度60倍の被覆度の配列データを取得した。この配列データから、血液キメラを考慮した多型解析手法をメンデル遺伝のエラー判定から構築した。自己細胞と外来キメラ細胞の変異を区別することで、自己の多型と外来多型を判定することが可能になった。また、同腹仔の情報が無い個体についても、アリルの頻度情報から、個体の多型が自己の多型か外来多型かを推定する方法を示す。

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© 2016 日本霊長類学会
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