霊長類研究 Supplement
第33回日本霊長類学会大会
セッションID: P26
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ポスター発表
勝山ニホンザル集団と淡路島ニホンザル集団の遊動域と個体間距離:GPS首輪発信器を利用して
*山田 一憲後藤 遼佑貝ヶ石 優森光 由樹
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抄録

勝山ニホンザル餌付け集団(岡山県真庭市)と淡路島ニホンザル餌付け集団(兵庫県洲本市)の個体にGPS首輪発信器を装着した。淡路島集団では,2個体に装着することで,個体間距離を推測した。GPS首輪発信器は,サーキットデザイン社製のGLT-02を用いた。測位は毎日0時00分と7時00分から19時00分まで2時間ごとに行うよう設定した。勝山集団では2016年8月18日に成体メスのBeria(13歳齢)に対して,淡路島集団では2016年8月23日にKirei(10歳齢)とNene(11歳齢)に対して首輪を装着した。これらの個体は中心部の個体であり,血縁関係はない。電池寿命は400日程度と推測されており,現在もデータの取得を継続している。2017年3月末の時点で,Beriaでは1114点,Kireiでは687点,Neneでは934点の位置情報を得た。設定したすべての測位ポイントのうちPDOP値が4未満の測位は,それぞれ,64.4%,39.5%,53.9%であった。最外郭法により推定した遊動域は,勝山集団で9.78km2,淡路島集団で12.1km2であった。秋期は広い範囲を遊動して餌場の利用が少ない一方で,冬期は餌場の利用が増加するという季節変動が両集団で確認できた。2016年8月から12月にかけて同時刻に測位ができた204点に関して,KireiとNeneの個体距離を推定した。個体間距離の中央値は102mであり,最大で3450m離れていたことがあった(2016年10月18日)。泊まり場が記録できた33点のうち2個体が500m以上離れていたのが16点あり,最大で2451mの距離があった(2016年10月28日)。この2個体が餌場で伴食し,毛づくろいをする姿も観察された。淡路島集団では,サブグルーピングが頻繁に起こること,それが何日か継続すること,サブグループに分かれた個体同士であっても親和的な交渉を行えることが示唆された。これらの特徴が淡路島集団の社会的な寛容性と関連する可能性を議論する。

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© 2017 日本霊長類学会
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