霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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口頭発表
奥多摩で発見されたニホンザル大腿骨骨折と治癒の稀少例
矢野 航森田 航坂上 和弘島田 将喜
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p. 43-

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抄録

ヒトでは骨折からの治癒痕が頻繁に見られるが、野生動物で見つかることは少ない。野生個体にとって大腿骨などの近位骨格の骨折は、歩行困難をもたらす上、敗血症をもたらすため、致死的な損傷となり得る。今回、奥多摩地域で野生ニホンザルの左側大腿骨が複雑に変形している稀少例が見つかったため、その原因と治癒過程を法医学的に調査した。国立科学博物館所蔵のマイクロCT撮影により得られた内部構造3次元構築像をPC上で分解・再構築を行った上で、法医学的手法により骨折および治癒過程を分析した。その結果、同個体が深刻な骨幹剪断骨折を起こした後、大腿骨がねじれ位置まで変位した状態で再骨化していた上で、股関節も偽関節状態で生存していたことを明らかにした。野生個体での近位骨格骨折からの治癒過程は極めて稀である。考えられる骨折および自然治癒の過程を推測し報告する。

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