霊長類研究 Supplement
第76回日本人類学会大会・第38回日本霊長類学会大会連合大会
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口頭発表
ヒヒにおける日中の捕食リスクの個体差
松本 晶子Suire AlexandreKunita ItsukiHarel RoiCrofoot Margaret
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p. 44-

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抄録

捕食は集団生活の進化を促進する大きな要因であると考えられている。個体が被る捕食リスクは一様ではなく、集団内の空間的な位置に依存する可能性がある。しかし、移動中の個体の観察が困難であることや、捕食者-被食者の行動に対する人間の影響等のため、どの分類群の動物でも野生状態での実証的なデータを収集することは困難だった。そこで、危険領域、捕食者検出距離、周辺にいる他者の数と方向、集団内での周辺/中心位置、二体間距離といった様々な尺度を用いた、個体の捕食に対する危険度を推定するプロキシが提案されてきた。本発表では、野生アヌビスヒヒの群れを対象に、GPS首輪により収集した個体の位置データを用いて、5つの捕食リスク推定プロキシを計算し、誰が最も捕食に脆弱な位置にいるのかを比較検討した。その結果、成体雄はより周辺に位置し、孤立しており、5つの指標は一致して彼らが最も高い捕食リスクにさらされていることを示した。各プロキシの概念的・方法論的な利点と欠点を捕食者選好との関連から議論する。

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