抄録
日時:2024年7月12日(金)13:30~15:00
場所:トークネットホール仙台 第4会議室(A会場)
霊長類の野外調査は、しばしば森林の奥深くまで対象動物を追跡して資料を収集し、通信状態が悪く、アクセスに時間のかかる遠隔地で行うことも多い。そのため、ほかの生物の調査に比べて、事故のリスクが高いことは否めない。実際、日本人による霊長類の野外調査が開始されてからの70数年間に、死亡事故を含む重大な事故が複数発生している。霊長類の野外調査を志すひとりひとりの研究者のかけがえのない命を守ることは、霊長類学が今後も存続するために、絶対に必要な条件である。日本霊長類学会では、2024年1月に野外調査安全管理タスクフォースを発足させ、野外調査中の安全管理についての検討を開始した。安全に野外調査を実施する体制を整備するためには、まず、それぞれの調査地や研究機関が、現状での安全管理体制、安全についての教育訓練の内容、また実際に事故が発生したときの対応について、お互いに情報共有して学びあうことが必要である。今回の自由集会では、調査地・所属機関が異なる4人の野外研究者が、それぞれの安全管理について紹介する。また、全会員を対象として実施を検討しているアンケート調査についても紹介する。本集会での会員の皆さんとの議論を通じて、日本霊長類学会として、今後、どのような取り組みをすべきかの方向性を確立したい。
登壇予定者:
勝 野吏子(大阪大学人間科学部)
豊田 有(日本モンキーセンター)
半谷 吾郎(京都大学生態学研究センター)
松本 卓也(信州大学理学部)
責任者:半谷 吾郎(日本霊長類学会野外調査安全管理タスクフォース)