霊長類研究 Supplement
第41回日本霊長類学会大会
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口頭発表
ウガンダ共和国カリンズ森林保護区における地元コミュニティとの協働による森林保全の取り組み:森林モニタリングとチンパンジー新集団の人づけ
橋本 千絵古市 剛史竹元 博幸
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 80

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抄録
ウガンダ・カリンズ森林保護区において,1992年以来チンパンジーをはじめとする野生霊長類の研究を行ってきたが,並行してウガンダ森林局(NFA)にエコツーリズム計画の推進に協力してきた。2019年にNFAは,USAIDの支援をうけてツーリズム事業を拡充する計画を始めた。そこで私たちは,霊長類の行動に大きな影響を与えず,かつ高い確率でツーリストが観察できる場所を策定するため,カリンズ森林全域の霊長類の分布の調査を行った。村の若者にチンパンジーの観察用に作られた12本計約50キロのトランゼクトを週に2回ずつ歩いてもらい,出会ったチンパンジーやサル類,森林内で活動する人の数や行動を記録する調査を3年にわたって継続した。その結果,サル類は人の影響を受けず逆に人がよく利用する二次植生の多いところでよく観察されること,チンパンジーは人との遭遇が多いところは避ける傾向があることがわかり,これにもとづいてNFAに提言を行った。モニタリングと並行して,ツーリズムのための新しいチンパンジー集団の人づけを始めた。カリンズ森林には,1992年以来調査を続けているM集団の他,北東のS集団,西方のWestern集団がいる。S集団はエコツーリズムでの活用のために人付けしたが,近年は観光客数も大きく増加してNFAに大きな収益をもたらしている。しかし,観光客の増加にともなって,チンパンジー観察に関する人数制限の遵守が困難になり,適切なエコツーリズムを運営することが難しくなった。そこでNFAの要請により,M集団の南方に遊動域をもつチンパンジー集団を人づけすることになり,村人2名が週5回チンパンジーを追跡している。現在2年を経過したところだが,1回の遭遇で観察できる個体が3頭前後から6頭前後へと増え,順調な経過を見せている。
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