2003 年 50 巻 p. 396-400
浅場・干潟域を対象とした潮流計算では, 干出・水没を考慮することによる流況の再現性の検討は数例報告されているが, 更に汀線近傍の恒流系の形成にとって重要な沿岸波浪に起因する海浜流系統の影響を考慮した検討については報告されていない. 本研究ではradiation stressの空間分布を考慮した潮流モデルを構築し, エネルギー平衡方程式による波浪場解析結果をもとに潮流計算を実行した. 東京湾の三番瀬海域を対象とした従来手法との25時間平均流の比較では, 流速値は波高減少が著しい領域を中心に50~200%前後の範囲で増減し, 流況は反時計回りの循環流が卓越した. この結果から潮流計算において波浪影響を考慮することの有意性を確認した.