海岸工学論文集
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石垣島白保海域における水温環境特性と造礁サンゴ群集の分布
熊谷 航田村 仁灘岡 和夫波利井 佐紀三井 順鈴木 庸壱茅根 創
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2004 年 51 巻 p. 1066-1070

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抄録

石垣島白保海域における局所的な水温・物理環境特性とその分布を明らかにし造礁サンゴ群集分布との関係を検討するべく詳細な現地観測を行い, ここでは水温を中心に解析を行った. その結果, 礁嶺付近では日較差が大きいが低温状態が長い, 汀線付近では高温状態が長く持続する, 礁池では水深が相対的に深く貯熱量大きいため水温変化が緩やか, など, 岸沖方向の各ゾーンでそれぞれ特徴的な水温変動パターンが見いだされた. そこで, 夏期の水温30℃以下となる継続時間で比較すると, 礁嶺付近が最も長く, ついで礁池, 汀線付近の順で短くなることがわかった. また, チャネル付近では暖水塊の滞留・移流の影響で水温の二次的な上昇があるため, 礁原南側は外洋水流入の盛んな北側に比べ全体的に温暖な環境であった. このような夏期における礁原上の局所的な水温環境特性分布は造礁サンゴ群集の高水温耐性とよく一致することが判明した.

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