2004 年 51 巻 p. 206-210
第三世代波浪モデルWAM Cycle 5を改良し, 2種類の同化変数を対象として, 評価関数および同化に用いる観測データの時空間密度を変えて, Adjoint法によるデータ同化実験を行った. 支配方程式中のパラメータを同化変数にする場合には, 背景誤差項を無視しても適切なデータ同化が可能であった. 一方, スペクトル境界値を同化変数にする場合には背景誤差項を考慮する必要があるが, 同化後の推定値は観測誤差と背景誤差の比に依存する. 一般に観測データの時空間密度が高いほど, データ同化による推定値の時空間変動は滑らかになる. 実海域を対象とした検討では, データ同化により推算値は観測値に近づくように修正され, 推算精度は向上した.