2005 年 52 巻 p. 1161-1165
日本最大規模のサンゴ礁海域である石西礁湖を対象とし, そこでの自然再生推進マスタープラン策定において極めて重要となる物理環境情報である流動, 温熱環境および物質輸送に着自して数値シミュレーションを行った. その結果, リーフが発達し水深の浅い海域で高水温状態が持続されやすい傾向があることが確認されると同時に, 小浜島東や西表島東岸の礁嶺の発達が著しく礁湖外から低温水塊が流入しにくい, いわゆる 「潮通し」 の悪い海域では高水温ストレスを受けやすい海域となっていることが確認された. さらにサンゴ幼生輸送計算より, 礁湖中央部・西部から供給された幼生は礁湖内での自己加入の可能性が高いことが示唆され, また宮良川からの礁湖内への赤土流入の可能性が示された.