2005 年 52 巻 p. 1176-1180
東京湾奥の三番瀬周辺は, 江戸川河口デルタ沿岸にあり, 開発前は沖合4kmの広大な干潟と連続する緩斜面の海岸・海底地形であった. 大規模埋立工事で造成地前面の海底に掘削穴が形成され, 青潮や貧酸素水塊の発生源として問題になっている. 掘削穴の埋め戻しが提言されたが, その効果や環境再生上意義を精査する必要がある. 本研究では海底地形を数値的に「仮想修復」し, 開発前・現況・地形復元の3段階の波・流れ環境を比較した. 特に干潟の海底勾配の連続性, 沿岸方向の連続性について計算結果に基づき検証した. その結果, 掘削穴の埋め戻しなど地形復元を行うと砕波帯や海浜流場などの干潟環境を一部修復できる可能性があることがわかった.