2005 年 52 巻 p. 1171-1175
有明海の干潟環境の再生・回復に向けての対策法の開発を目的として, 人工干潟を創生し, 環境モニタリングを実施して環境変動の動態把握と変動のメカニズムについての検討を行った. この人工干潟は, 底質の外部からの搬入ではなく埋立地の掘削により作り出され, 通水管によって外海と海水交換すること, 潮溜まりを持つことが特徴的である. この人工干潟では, 地盤乱底質など生物生息環境の多様性を人為的に創生することによって, ごく近傍の干潟では見られないような生物を含む多様な生態系が, 潮溜まりを持っていることにより場の生産力を上げている可能性が数値計算により示唆された.