2005 年 52 巻 p. 86-90
本研究では, 超小型圧力計を用いた水理実験とMARS法を自由界面の解法としたk-ε乱流モデルによる数値計算を行って, 気液混相流場での砕波に伴う流速場と圧力場の時空間変動について考究した. さらに, 砕波時の波面変形を気相での圧力構造と関連づけて考察した. その結果, 砕波時の気相の等圧線は波峰の前後で非対称であり, 圧力は波頂上部では小さく, 波前脚部と波峰後方では大きい分布となる. また, 波前面の気相の圧力分布は波頂部近傍と脚部周辺に, それぞれ低圧力部と高圧力部が存在し, 水面に作用する圧力に差異が生じる. この圧力の差異が, 砕波時に水表面が波内部へ向かって円弧状に湾曲する現象を助長していると推察できる.