抄録
冬季の東部瀬戸内海における無機態窒素濃度に及ぼす残差流の影響を明らかにした. 診断モデルを用いて, 密度場及び風速場から東部瀬戸内海の残差流を計算した. 残差流は風の影響を強く受け, 季節風の強い1月から2月には東向きの通過流が発生し, 播磨灘北部では強い東向きの残差流が発生した.この残差流に伴い栄養塩濃度の低い水塊が燧灘から東進し備讃瀬戸および播磨灘の栄養塩濃度が低下した. 播磨灘北部の栄養塩濃度は, 夏季に低く秋に上昇して12月頃に最大となり, 冬季になると低下した. この冬季の濃度低下は東向きの残差流の発生した後に起こり, 西よりの季節風が早期から強い年には栄養塩濃度の低下が早くノリ養殖不作の原因になる.