2006 年 53 巻 p. 116-120
伊勢湾を対象として, 沿岸部と海上部で取得された風観測資料を用いて1時間ごとの海上風分布のデータセットを9年間にわたり作成し, その平均特性を調べるとともに, これと1点浅海モデルおよび波候解析モデルを組み合わせた波浪の長期推算システムを構築し, その精度を検討した. この結果, 1) 伊勢湾では湾奥から湾外に向けて平均風速が増大するが, 夏季にはSE方向, それ以外の季節ではNW方向の風が卓越し, 湾軸が風の通り道になっていること, 2) 本システムによる外洋性波浪資料はECMWF-WAM解析資料より高い精度をもつことや, 本システムは伊勢湾内外の観測地点の波浪に対して良好な再現能力を有すること, を明らかにした.