海浜事故に関する研究が, 西 (2006a, 2006b) により行われている. 海浜事故は, 砂質海岸だけでなくサンゴ礁に代表されるような岩礁性海岸でも地形性の沖向き流れにより発生している. しかしながら岩礁性海岸での海浜流及び海浜事故の知見はまだ少ない. よって, 本研究ではサンゴ礁性海岸での海浜事故状況を調べ, 海浜事故が地域的にリーフカレントと呼ばれる沖向きの流れに起因している可能性が高いことを明らかにした. そして, リーフカレントにより海浜事故が生じたと思われる鹿児島県と沖縄県のサンゴ礁性海岸で, 海浜流と地形の現地調査を行った. その結果, シュノーケルや遊泳で利用されやすいリーフギャップ背後地海浜で沖向き流れが発生しやすく, これが海浜事故の原因となることが分かった.