抄録
海上風解析には, 従来, i) 実測風をスプライン補間などにより内挿する方法, または ii) 簡便な台風モデルや大気境界層モデルによる方法が用いられてきたが, 再現性, 適用性には限界があった. 最近の局地気象モデルの普及により, iii) メソ気象モデルを用いる方法が海岸工学的な実務面でも適用されるようになり, 複雑な地形条件下で陸上地形の影響を考慮した海上風場の高精度な解析が可能となってきている. 本研究では, メソ気象モデルMM5を九州西部海域に適用し, この海域での1959年以降の主要47気象じょう乱 (台風42) を対象とした局地気象の再解析を行い, 解析結果をデータセット化した. さらに, 推算結果を利用して非常に閉鎖性が強く, 山岳地形の影響が顕著である大村湾海域の風特性を検討した.