抄録
有義波高に対する最高波高の比が大きい異常波浪はfreak waveとしてその存在が知られており, 原因として波浪の非線形性の影響が指摘されている. しかし, その出現の時空間特性を示した例はない. freak waveは海難とも関連が深いと考えられるため, その出現特性を明らかにすることは非常に重要である. 本研究は, 長期間の波浪推算データベースの周波数スペクトル情報を用いて, 波浪の非線形性の指標として知られるベンジャミン・フェア指数 (BFI) を算出し, 異常波浪出現の時空間特性を明らかにすることを目的として実施した. 海難が多く発生している野島崎沖では, 冬季に波高が高い上に, BFIも大きい. このため, 他の海域と比べて大きな最高波高が出現していることが推定される.