抄録
津波来襲時の切迫した避難に関して種々の可能性を検討し, 合理的な避難計画を実現するためには, 避難主体である人間行動の個別性を考慮したヒューマンスケールの避難行動シミュレーションが有効である. 本研究では, 鳥類・魚類の群れ行動モデルとして知られるBoidを導入して, 個体の年齢層別の運動能力の相違を考慮した群衆行動シミュレーターを構築し, 1,000人弱の規模の小市街から背後の段丘上の避難場所への群衆避難のシミュレーションを実施した. 高齢者優先避難路の導入など, 避難シナリオの策定が避難効率に及ぼす影響に関しても考察を加えた.