抄録
人工海底山脈による湧昇効果について, 恒流および潮汐流を考慮した往復流による数値計算を実施した. また, 定常流による計算も実施して往復流による結果との比較を行った. 湧昇効果は, 栄養塩のフラックス量である湧昇栄養塩量を定義して評価を行った. 往復流による湧昇栄養塩量の計算値は, 定常流と比較して約1.4倍程度大きくなった. これは, 往復流における転流前の流況や栄養塩濃度分布の履歴および渦の発達過程などの影響と考えられる. また湧昇栄養塩量は山脈の流軸方向投影面積に比例して増大し, ブロックや石材による築造を想定した範囲では, 斜面勾配の影響は小さかった.