過去の研究により水俣湾の底泥中に含まれる微量残留水銀が八代海へ拡がっていることが報告されている. 本研究では水俣湾中央部で過去に行われた超音波ドップラー流速計ADCPと後方散乱光式濁度計を併用したSS輸送の現地観測と同様の手法を湾口部に適用し, 夏季と冬季におけるSS輸送量の把握を試みた. 夏季は上層と中底層で密度流構造による流れの卓越方向の違いが確認された. またADCPの反射強度からSS濃度の鉛直分布を推定し, 観測期間中のSS総輸送量を見積もったところ, 冬季は水俣湾へ流入, 夏季は八代海へ流出していることが明らかとなった.