抄録
マーケティングは、顧客、利用者からの視点を大切にしている。送り手であるメーカーは、顧客の考え方や購入行動を十分に理解できないばかりでなく、マーケティング活動に対してもメーカーの制約条件が支配しがちであるからである。情報システムの設計、開発サイドも、メーカーと同じように利用者のことがよくわからない、あるいは利用者のことを考えにいれにくい、ということがないだろうか。情報システムを考えるとき、利用者からの発想を大切にするマーケティング視点を導入してはどうか。本稿では、マーケティングの考え方、手法を取り入れて、利用者オリエンテッドな情報システムを捉えることを、提案している。また、情報システムやマーケティングなどのソフト技術が高度に発達して、社会や人間行動に「省力と時間短縮」をもたらしたこと、この影響変化を謙虚に受け止め、ソフト技術の適用に際して「倫理という問題意識」をもつことの重要性を取り上げている。