抄録
クラス図の関連をRDB の関数従属性と同等な関数関係と仮定し,オブジェクト間の関係をオブジェクトのライム
タイムの視点から分析した.その結果,関数従属的な関連は,あるオブジェクトから,当該オブジェクトを包含す
るライフタイムを有する(ライフタイムがより長い)オブジェクトに向かう場合に限定されることが示された.この
場合,オブジェクトにタイムスタンプ属性や有効期間を示す属性を導入すれば,少なくともライフタイムが包含関
係にある場合には,関連の一方の多重度が1(そして1 に限る)の「関数従属的な関連」に変換できる.そして,
それ以外の関連は意味的に存在することは少ないと推定される.本分析から,クラス図設計におけるライフタイム
の重要性が確認されるとともに,関連の片方に,多重度1(そして1 に限る)を用いている,存在従属クラス図,
及び,渡辺幸三によるモデリング手法の正当性・汎用性が傍証される.