バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
解説
園芸療法
田崎 史江
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2006 年 30 巻 2 号 p. 59-65

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抄録
私たちは植物のある環境に身を置くことで癒されたり喜びを感じる.都市の中の緑のオアシスである公園やオフィスや病院の中インテリアプランツが,ストレスにさらされている人間を癒すことは科学的に証明されてきている.また,植物の生長に積極的な活動で関わることで心身ともに健康な状態を維持することもできる.長年農業にたずさわっている高齢者や定年後に農業をはじめる高齢者が健康的な生活を楽しんでいる様子がよく見られる.人間は植物の恩恵を受け,生命を維持していることを経験的に知っているのである.
園芸療法は植物を育て,使う活動を通して心身機能を良い状態に導いていく手法で,昔から作業療法の作業種目の1つとして用いられてきた.園芸活動は体を動かす健康的運動であるだけでなく,人の五感を刺激し,これにより楽しさや喜び,驚きを感じ,それは心を良い状態に保ち続けることになる.さらに,グループで作業することは会話を楽しみ,帰属感も責任感も養い,社会性を保つことにもつながっていく.
高齢社会の現在,介護予防,認知症予防の方向からも園芸療法が取り組まれてきている.
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© 2006 バイオメカニズム学会
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