情報システム学会 全国大会論文集
Online ISSN : 2433-9318
第13回全国大会・研究発表大会論文集
セッションID: S1-B.5
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S1-B.人材育成/新しい情報システム・アプローチ
主観的評価からみたソフトウェア技術者の生産性比較- 業務位置づけからみた日本のソフトウェア技術者の現状-
*臼井 由樹金田 重郎中田 喜文古田 克利
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抄録

我が国では,ソフトウェア技術者の約 3/4 が I CT ベンダあるいは大手製造メーカの ICT ベンダ部門に属し,残りの 約 1/4 が顧客側企業 SE (社内 SE )に属す.一方,米国では逆に社内 SE が約 3/4 である.この日本固有のソフトウェア技術者の分布比率は,彼ら 彼女 ら の仕事満足度・生産性及び生産性決定に影響を与えると考えられる.本稿では,上記問題意識に基づき技術者の主観的な評価に基づく生産性と生産性決定要因の分析を行った.分析対象は,IPA RISE2014 年 度ソフトウェア工学分野の先導的研究支援事業 「日本のソフトウェア技術者の生産性及び処遇の向上効果研究:アジア,欧米諸 国との国際比較分析のフレームワークを用いて」 (代表者:中田喜文)で収集された個票データである.分析は,データを社内 SE とベンダ SE に分けて行った.分析の結果,社内 SE とベンダ SE では,主観的な生産性評価については,有意な差が存在しないことが確認できた.一方,生産性決定要因のうち,「仕事独創性」は社内 SE が,「教育・育成に関する人的資源管理」については,ベンダ SE が,それぞれ有意に高い結果と なった.また,社内 SE 及びベンダ SE については「仕事独創性」及び「教育・育成に関する人的資源管理」変数が,主観的生産性変 数との間に有意な正の相関性が存在することが確認された. ここから 日本のソフトウェア産業の生産性を向上させる要因として,独創性を発揮できる環境及び教育・育成環境が有力な候補であることが示唆された.

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© 2017 一般社団法人 情報システム学会
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