抄録
2011 年に発生した東日本大震災では,システム障害により,多くの地方自治体や公共交通機関において情報発信
に障害が発生した.その結果,被災者は意思決定をおこなうための情報が不足し,安全確認やインフラ復旧状態の
確認など,その後の行動に対する判断に支障をきたすといった問題が発生した.本論文では,大規模災害時に対応
可能な情報発信システムに求められる課題とそれらを解決する方法について提案する.また,提案した方法の具体
的な実現方法として,オープンソースのクラウドコンピューティング基盤Kumoi と地理的に離れた複数のデータセ
ンターを活用した広域分散環境を組み合わせた自律ミラーサイトシステムについて述べる.