抄録
現在の日本では,高齢化社会により高齢者の割合が多くなり,その介護者もより多く必要とされる社会となっている。福祉の現場における問題の一つとして,高齢者の深夜徘徊があげられる。深夜徘徊による事故の危険性のために,介護者はその危機管理に大変な精神的労力を必要とする。既存の深夜徘徊防止装置には,マットセンサ・センサーパッド・赤外線センサ・クリップ・タグなどを利用したものが存在するが, マットセンサ簡単によけることが出来,センサーパッドは寝返りによる誤作動が多い。赤外線センサは設置の難しさや誤作動の多さに問題があり,クリップ及びタグタイプは患者にはずされてしまう問題がある。本研究では,その介護の現場において問題となっている深夜徘徊の危険性及び介護者の負担に着目し,患者の安全管理の容易さと患者及び介護者の心的負担を軽減するシステムの開発を目指す。ここで提案するシステムでは,Kinect内蔵の深度センサを利用し設置場所を天井にすることで,Kinectの広い感知範囲から調節を容易にし,センサを避けられたり外されたりといった問題を解消するシステムを構成した。