抄録
近年,材料の新規開発や長寿命化に伴い,その性能を より短時間で分析的に評価できる試験が求められている。 例えば,金属では腐食やさびは材料の脆化,外観の不良にもつながるため,腐食に対する耐久性(耐食性)試験が重要な試験の一つとなる。金属材料や表面処理の耐食性試験として,塩水噴霧試験が知られている。この試験の歴史は古く,現在では全世界で規格化され実施されているが,課題が複数残されている。とりわけ試験機や試験結果の評価方法における課題は腐食試験を議論する上での土台となる重要な要素だが,解決に至っていない。試験機の課題の一つに試験中の槽内の様子を確認できない点がある。試験片の耐食性を評価するために,腐食現象の進行度を知ることは重要であるが,槽内の塩水の噴霧やそれが壁面に付着した液滴により内部は不鮮明で試験片の確認はできない。評価方法の課題は定量性の低さである。多くの試験では試験片表面のさびの状態を評価項目に挙げているが,その評価の多くは目視により行われ,さびの発生の有無を報告する。さびの判定基準は定性的であり個人差が認められる場合がある。こうした定性的かつ不均一な基準で得られた結果は信頼性も低い。本稿では試験槽内への注水と画像解析を用いて,従来試験機の課題の解決した新たな装置である腐食過程の可視化装置を提案する。また,製作した装置を用いた実験を通じて,本提案の実用性を検証する。