抄録
近年,日本における高齢者の人口が増加しており,全年齢層における交通事故の死者数は減少傾向にある一方で,65歳以上の高齢者が占める割合は依然として高い(1)。本研究は高齢社会における交通事故の予防に効果的に貢献するため,熱赤外画像データを用いて夜間におけるリアルタイムの人物動作検出および車両検出手法に関して検討を行った(2)。しかしながら,従来手法は熱赤外画像データ内における歩行者の人数が一人の場合のみを対象としており,複数人を対象とした検討を行うまでには至っていない。そこで本稿では,熱赤外カメラを用いて複数の人間の行動を新たに取得し,転移学習(3)とFaster R-CNNを用いた検出方法の改善を行う。提案手法を評価するため,検出精度(Precision),再現率(Recall),APおよびmAPを算出して従来手法による結果と比較した。さらに,検出速度に関する考察を行ったので報告する。