抄録
近年,世界の抱える問題の一つに超高齢化社会があげられる。高齢者は加齢によって身体機能や注意力が低下するため,転倒や転落などの事故を引き起こす事例が発生しやすい。こうした異常事態の発見が遅れることで孤独死につながる恐れがある。これを防ぐために,高齢者の異常状態を早期発見可能なシステムの開発が期待されている。従来では,カメラを用いた見守りシステムが広く普及しているが,プライバシーを侵害する可能性がある。そのため最近ではWi-fi sensingよるシステムも提案されているが,転倒検知には対象の様々な状態のデータが必要である。そこで,当研究室では一次元輝度分布センサを用いた単一データによる転倒検知システムの開発が行われてきた。この手法はより多くの特徴量を必要とするため,異常を検知しやすい位置にセンサを設置していた。こうした理想的な位置からの検知では家具などの死角により検知が困難な場所が生じる可能性がある。本研究では,この問題を解決するためにセンサを高所に設置することで,より実用的な検知を行う。ここで,減少した情報量は時系列データを用いることで補う。