抄録
金属セラミック基板は,高電圧・高電流の電力変換を行うパワーデバイスの部品として使用されている.金属セラミック基板は,製造工程で傷やシミなどの欠陥が少量発生することがある.そのため,基板の外観から欠陥の有無を判断する必要があり,目視や機械による検査が行われている.しかしながら,目視検査は作業員への負担やコストがかかる.一方,機械による検査は,基板上に存在する結晶粒界が欠陥に類似していることや,基板撮影時の照明条件ごとに画像情報が変化することに起因し,高精度の判別が困難である.本研究では,画像処理および機械学習を用いて,傷およびシミの検出を可能にするアルゴリズムの開発を目的とする.本稿では薄いシミの検出について検討を行った.検出手法では,はじめに前処理としてマスク処理とコントラスト強調を行った.次に,二値化処理を用いて欠陥領域を抽出した.最後に,抽出した画素数を参照することで,画像上の薄いシミの有無を判別した.実験の結果,薄いシミの基板と良品基板の判別精度は99.4%を達成した.これは,提案手法が薄いシミの検出に有用であることを示唆している.