抄録
近年,少子高齢化に伴い,日本の建設現場における作業員の高齢化と人手不足などが喫緊の課題になっており,作業の効率化やヒューマンエラーの低減,遠隔監視などの改善・対策が求められている。一方,画像処理および深層学習に関する技術の進展に伴い,動画から人物の骨格情報を推定する手法が注目を集めている。この手法は,リアルタイムで遠隔から作業状況や作業者の身体状態を把握できるため,作業安全管理や異常検出に活用されている。しかしながら,実際に監視する場合,特に建設現場では,カメラから人物までの距離が遠くなることに起因し,低解像度の動画が使用される場合も多く,既存の姿勢推定モデルでは人物を十分に検出できない,あるいは骨格推定が失敗するなどの課題が挙げられる。
本研究では,遠距離および低解像度環境下における姿勢推定の検出失敗・精度低下を解決するために,超解像解析と人物姿勢推定を組み合わせた多段階処理を用いて,リアルタイムで遠距離の目標人物における骨格情報を推定可能なモニタリング手法を提案する。