抄録
国内の米生産量は年間750 万トン程度と膨大です。稲の収穫にともない,非食部であるもみ殻は,農業廃棄物として年間約150 万トン排出されます。もみ殻は,その安定した排出量と低い収集コストから有望な有機資源ですが,その有効利用率は国内で約3 割に留まっています。もみ殻の低い利用率の一因に,もみ殻の素材としての特徴があります。ケイ酸植物である稲は,その生長過程で土壌から水溶性ケイ酸を取り込み,種子の外皮に高い含有率でシリカを集積させます。この高いシリカ含有率に起因して,もみ殻は粉砕されにくく,かつ,炭素含有量分が少なくなり,燃料としても,素材としても,使いにくくなります。講演者は地域の産業活性化を目指して,有機分とシリカの複合材であるもみ殻を産業用高機能材料に変換する研究を長年続けてきました。もみ殻の有効活用例の一つが,エネルギー貯蔵,すなわち蓄電デバイス電極材料への応用です。本講演では,もみ殻の排出およびリサイクル状況,さらに,素材としての特徴をお話します。そして,どのようにもみ殻をキャパシタや二次電池の電極材料に使用するかを説明します。