抄録
本研究では,複雑な観測データに対しても高精度な近似関数を発見できる累積探索型 S-System を対象に,その探索効率の改善を目的とする。S-System は虫型の人工生命を用いた関数発見システムであり,累積探索型 S-System は S-System による関数探索を複数回繰り返す(累積する)ことで,従来の S-System では近似が困難であった複雑な観測データにも対応できる。しかし,各回の探索を固定世代数で実行するため,近似関数の発見に要する世代数が大幅に増加するという課題がある。そこで本研究では,各回の探索において適応度が収束した時点で直ちに次の探索へ移行する「適応度の収束に同期した探索の移行」を提案する。直近 M 世代の適応度の移動平均と現世代の適応度との差が閾値以下となった場合を収束とみなし,探索を打ち切る。Himmelblau 関数および Valley 関数を観測データとして従来システムと提案システムを各20回比較した結果,最終適応度をほとんど損なうことなく,近似関数の発見に要する世代数を従来の半分以下に削減できることを確認した。