抄録
我が国の地方自治体の財政状況はバブル経済崩壊をもって急速に悪化し, 多くの自治体が事実上の財政破綻に陥っている.他方, 中央政府は “三位一体政策” を打ち出し, 地方の自主・自立体質の強化を目指している.現状の地方自治体組織の実態を見ると, 中央政府の省庁縦割管理に対応した体制となっている.地方自治体組織の諸部門は中央省庁の基本方針や諸規定・規則の枠組みを踏まえて動く構造となっており, 部門間が柔軟に作用し合い, 地域の実態に則した的確な活動方針を打ち出して行くことが極めて困難な構造となっている.
自主・自立を前提とした組織は, 自ら方針と方策を見出して行くことが求められる.そして, その活動を可能にするシステムを持っていなければならない.今, 地方自治体は迅速かつ的確な方針決定を行い, 効率的な運営を行っていくためのマネジメントシステムを自ら構築することを求められている.本研究は, 我が国の地方自治体の組織と行政の実態を分析し, 日本の実態に適合した地方自治体のマネジメントシステムの構築を目的としたものである.