抄録
市民の多様化するニーズを公共サービスに反映する役割の担い手としてNPOが注目されている. 市民レベルでの活動が社会的に認知され活発化する中, 地域やコミュニティのあり方が問われ全国各地で市民による地域づくりが実践され始めている. しかし, 市民, NPO, 行政が協働するための社会的枠組みや制度は必ずしも十分に確立されておらず, 現場では試行錯誤が繰り返されている. 現時点においては各NPOの能力には差異があり, 加えて, その経営基盤も脆弱であり, 公共サービスの安定的供給という観点からの問題も指摘されている. 本研究では, 地域づくり支援にNPOを活用する場合の問題を制度的に克服する手法をオープンハウスに関連する政策として提案した.本政策でのオープンハウスでは (1) 単なる施設ではなく, 制度と規定した点,(2) 要求性能毎に2分化した点,(3) 既存施設を有効利用する点,(4) NPOの活用を前提とした点,(5) 法的位置づけを明確にした点がその特徴といえる. 本政策提案により, 行政と市民が協働して地域づくりに取り組むための社会基盤を経済的かつ効率的に整備する可能性が示された.その具体的な検証については, 今後の課題としたい.