建設マネジメント研究論文集
Online ISSN : 1884-8311
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中山間部の豪雪地帯集落の空間及び管理主体特性に基づく冬期生活支援の方向性について
丙 京禄木内 望小塚 清
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2007 年 14 巻 p. 299-310

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抄録

高齢化・人口減少などの課題が先鋭的に顕在化している中山間の豪雪地帯の集落は、条件不利地域としての課題を多く抱え、冬期の生活環境の水準維持が年々厳しい状況になっている。集落の冬期生活の維持には、人口減少・高齢化の度合い、基幹産業、地域の財政自立度といった社会的特性、積雪量・パターン、道路など公共施設の分布、住居の密集度合い、消・融雪設備の有無等の空間的特性などが管理能力に大きな影響を与える。したがって条件不利地域の生活環境維持のための支援手法は、中山間の豪雪地帯一般よりも集落の地域特性や管理の主体のようなより密着した状況に基づく必要がある。本研究では中山間の豪雪地帯に該当し、辺地、過疎地などの問題を抱えるとともに市町村合併による課題も予見される秋田県仙北市を対象に地域環境特性の異なる6つのケーススタディ集落を選定し、現地空間特性の調査及び管理主体となる関係団体へのヒアリングにより集落の現状・課題について分析し、今後の支援の方向性について考察を行った。その結果、(1) 助け合い組織及び地域のリーダ育成などによる地域住民の互助意識の向上 (ソーシャルキャピタルの向上) と、(2) 消・融雪設備投資、克雪住宅化、道路除雪の効率化など設備・技術による管理手法の工夫 (フィジカルキャピタルの向上) が必要であり、(3) ボランティアサポート、若年層の教育・育成、異常豪雪時の対応など自治体行政の管理能力の高度化 (マネージメントカの向上) が必要であると考察された。

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© 社団法人 土木学会
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