抄録
兵庫県南部地震における灘区の詳細な建築物データを収集し、被害分析を行った. その結果, 主要構造別の全半壊率は, 木造, 鉄骨造, 鉄筋コンクリート造の順に小さくなり, 各構造の全半壊率は建築年代が新しいほど小さくなる傾向が見られた. GISを用いた分析では, 全壊率の高い地域は各構造とも同様の分布傾向を示しており, またそれらは死者発生率の高い地域とも類似していた.土地条件ごとの木造建築物の被害を分析したところ, 表層の地盤条件の違いが建築物被害率に大きく影響していることが伺われた.さらに町丁目ごとの全壊率を比較検討した結果, 本研究に用いた減免用被災度調査における全壊率判定基準の方が, 「震災復興都市づくり特別委員会」による基準よりも高くなっていることが確認された.