1999 年 25 巻 p. 21-24
釧路沖地震, 三陸はるか沖地震等, 積雪期に被害地震が数多く発生しているが, 積雪期を考慮した地震防災計画は充分とは言えず, 地震工学者の間でもこの分野に関する研究は殆ど行われていない。釧路沖地震に関しては被害報告書, 三陸はるか沖地震も被害報告に加え, シンポジウムも行われたが, 扱われている内容は地震動, 地盤の特性, 構造物の破壊状況, ライフラインの被害等であり, 直接的に雪や寒さに触れているわけではない。阪神・淡路大震災も冬期であり, 凍死した方もいるにも関わらず, 積雪寒冷に関する問題提起がなされていない。こうした状況の中, 積雪期地震防災の進展を目指し, 本論文では新潟県内で積雪期に起こった被害地震の概要, 筆者らが実施したアンケート調査の結果を取り上げる。積雪寒冷期の被害地震では釧路沖, 三里はるか沖地震等が注目されるが, 新潟県内で発生した地震も被害が出ており, 今後の防災対策立案に貴重な教訓を残している。新潟県に限らず豪雪地帯では過疎地域を抱え, 発災時のマンパワー不足が懸念される事から, 併せて高齢化の実態についても言及する。