抄録
地盤に着目した地震被害の調査結果から各種の地震被害が地盤条件の変化点で多く, 被害原因として地盤の不同鉛直・水平変位や地盤変位に伴う急激で大きい偏土圧等が考えられることを既に発表している。今回は, 台地の縁や山腹で地震被害が大規模に生じた3つの盛土と自然斜面の地盤について検討した。その結果, ともに谷状地形に存在していることや湧水が存在すること, 集水地形になっていること, 盛土等の下部と地山との間あるいは法尻部の地盤に軟弱粘性土層 (粘土層や腐植土層) が存在することなどの共通性が認められた。さらに, 地震のとき盛土底部等の軟弱土層部分がたり面になって, あるいは一定厚さでない軟弱土層部分に鉛直・水平方向の不同変位が生じて崩壊が生じたことが推定されたので, その結果を報告する。