抄録
横浜市は1923年関東地震によって大きな被害を受けた地域の一つである。横浜市では多様な地盤条件が存在し, 被害は複雑に分布していたと推定されるが, 被害分布の詳細には不明な点が多い。本研究では, 1923年関東地震による横浜市での木造家屋の被害について, 町丁目・大字単位で資料を収集し, 全壊率を指標として整理した。この集計結果は既往の市町村単位の集計結果と矛盾なく, その妥当性が確かめられた。被害の大きかった市町村内では, 町丁目・大字の地区間でも全壊率に大きな差がある箇所も存在し, 全壊率が高い地区の周辺では, 軟弱地盤に分類される箇所が多いなど, 被害と地盤条件との関連性が強いことが再確認された。