抄録
名古屋市及びその周辺地域には, 都市ガス供給設備の地震安全性確保を目的として103台の地震計が設置されており, 1997年愛知県東部地震 (M5.8), 1998年岐阜県美濃中西部地震 (M5.4) 及び2000年三重県中部地震 (M5.5) の地震動が観測されている.本論文では, これら高密度地震観測網で得られた地表観測記録と対象地域内の数箇所で実施した地質調査データを用いてせん断波速度Vsが500m/s程度の工学的基盤における広域の地震動予測を行った. さらに, 地表の観測記録及び工学的基盤における推定地震動から, 中小地震時の表層地盤を対象とした加速度応答スペクトル (5%減衰) の増幅倍率 (以下では応答スペクトル比と呼ぶ) の広域評価を行った.