兵庫県南部地震時には多くの構造物と同様に下水道施設にも甚大な被害が生じた. 神戸市東部に位置する東灘処理場においても, 各種構造物に大きな被害が生じた. 魚崎運河護岸近傍に位置し, その基礎杭の地中部に大きな被害が生じていることが予測されていた管理本館が, 地震後5年半を経過して解体・撤去されることとなった. この機に, 地震時の杭の挙動や破壊形態を解明することを目的として, 杭を掘り出し, 目視調査を含めた各種調査を実施することにした. その調査結果および被害状況を踏まえた数値解析結果により, 本調査杭には地震によって大きな荷重が作用し, その後の地盤流動により残留変位が生じたものと推測された.