筆者らは, 供用開始から約30年が経過した沈埋トンネルを対象に, 現状のトンネルが有する耐震性能について調査した. まず建設当時の設計図書, 工事記録, 既往の現地調査結果の情報を収集し, それらに基づいて検討条件を設定した. また当該地区の歴史地震や活断層等の地震環境を調査し, 耐震検討に用いるレベル2入力地震動を設定した. そしてトンネル周辺地盤の地震応答解析, トンネルの横断及び縦断方向の地震応答解析を実施し, トンネル躯体や継手部の安全性を照査した. これらの検討結果より, レベル2地震動に対して両側立坑部の一部の部材でせん断耐力が不足すること, 立坑部と函体間の継手部で最大目開き量が大きくなること等, 今後, 耐震補強を検討する上での貴重なデータを入手できた.