抄録
構造物の損傷前後における固有振動特性と周波数応答関数の変化から各要素の剛性低下率・減衰増加率を同定する手法について述べる. 逆計算の際に解が発散する問題を解決する為, 新たに学習係数を導入した. 提案手法は1個の起振器と1個の計測器による1入力1出力データからの同定を目的とするものである. 計器の配置換えの手間を省いて計測を簡易にする為, 簡易に計測可能な固有振動特性を利用し, 計器を1箇所に固定したままで様々な起振振動数を用いることを考えた. 数値計算を通して, 両データを単独で用いた場合の手法の有用性を検証し, 片方のデータが不十分な場合でも, もう片方のデータを組合せることで同定が可能となることを検証した.