臨床神経生理学
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特集「筋疾患と神経疾患の狭間の疾患」
Valosin-containing protein (VCP) 遺伝子変異による多系統蛋白質症
安藤 孝志鈴木 将史勝野 雅央
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2025 年 53 巻 3 号 p. 140-150

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抄録

多系統蛋白質症 (multisystem proteinopathy, MSP) は神経系や筋骨格系を含む多臓器に蛋白凝集体が出現し, 常染色体顕性形式で成人期に発症する遺伝性疾患の総称である。MSPの原因遺伝子は複数存在するが, 最も報告数が多いのがvalosin-containing protein (VCP) 遺伝子変異によるものでMSP1として分類されている。VCPは様々な組織に発現し, 多彩な細胞機能に関与することが知られている。VCP遺伝子の変異により, 封入体ミオパチー, 骨Paget病, 前頭側頭型認知症, 筋萎縮性側索硬化症など多彩な表現型が出現する。さらに, これらの古典的な表現型に加えて, 末梢神経障害も生じうることが報告されている。本稿ではMSPの概要や, VCP遺伝子変異によるMSP1でみられる各病態の臨床的特徴を解説する。

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© 2025 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
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