抄録
1995年兵庫県南部地震ならびに2004年新潟県中越地震の特徴の1つとして上下動が大きかったことが挙げられる. この上下動が盛土の破壊に与える影響に関する検討はあまり行われていないのが現状であり, 盛土の耐震設計指針等においても鉛直地震動を考慮した耐震設計は含まれていない. そこで本研究では水平動だけでなく上下動を同時に考慮することができる修正Newmark法を用い, 地震時における盛土の破壊をすべり変位量によって評価した. そして数多くの強震動を入力地震動として採用することによりパラメトリックスタディを実施し, 上下動が盛土の破壊に及ぼす影響に関して検討を行った. その結果, 震央距離が比較的短い内陸直下型の地震においては, 上下動は盛土の破壊に対し危険側に作用する可能性が高いことがわかった.