抄録
組織として理想的な防災対策を実現するには, 過去の災害対応を正確に記録し, これを分析 /評価し, 問題点を洗い出すとともに解決策を検討する環境整備が必要である. しかし, 現状では組織としての防災力を分析/評価できる環境が整備されていない. そこで本研究では, 新潟県中越地震時における新潟県庁の災害対応業務記録を5つの視点 (組織構造, 業務分析, 業務量評価, 情報マネージメント, 相互連関) から分析し, 組織としての防災上の問題点を洗い出しを試みた. また, 実際に対応にあたった県庁職員に対して, ヒアリング調査を行うことで業務記録の信頼性を確認するとともに, 分析結果に基づいた議論から, 組織の防災力向上に貢献できる教訓を抽出し, 防災対策を立案できる環境を整備した.