抄録
現行の道路や鉄道の設計の際に一般的に用いられている安全性照査地震は, 主に兵庫県南部地震の記録をもとに策定されている. しかし兵庫県南部地震の強震域は地震基盤深度が非常に深く, そこで得られた記録は地盤の増幅の影響を強く含んでいる. そのため地震基盤が浅い地域においてもこのような設計地震動を適用することは合理的でないことが想定される. そこで本研究では地震基盤深度を大まかに 2つに分類し, それぞれの基盤深度における内陸活断層型地震の応答スペクトルの比較を行った. その結果, 比較的地震基盤が浅い地域では, 深い地域と比較すると, 構造物の一般的な周期帯である 0.5~1.0秒において, 3割程度応答スペクトルレベルが小さくなる可能性が示唆された. 山間部等地盤の良好な地域では, このスペクトルを用いて安全性照査を行うことにより, 現在よりも合理的な構造物の設計が可能となる.