抄録
急峻な山地や崖地が多いわが国の地形条件に加えて, 都市近郊に存在する傾斜地の高度利用が進展していることから, 鉄道路線や山岳地帯で土砂災害による被害が多発するという現状がある. そこで本文は, リスク工学の観点から地震と降雨を誘因とする局所的な土砂災害の危険度評価を行った. 対象斜面は, 福岡県西方沖地震で被災した志賀海神社北地区の斜面を選定した. 崩壊した斜面を構成する地層から判断すると規模の異なる3つの斜面崩壊が懸念されたため, リスク分析により対策箇所の優先順位付けを行い, 合理的な復旧対策事業を進めるための理論的裏づけを与えるとともに, 復旧対策工の妥当性を検証することを目的とした. また, 地震と降雨の複合影響を考慮した斜面災害のコスト次元でのリスクを算出した.